内視鏡器具の完全ガイド：種類と用途 | XBX

内視鏡器具は、内視鏡の狭い管を通して操作できるように設計された精密医療機器です。これにより、外科医は大手術をすることなく、人体の深部で診断や治療を行うことができます。これらの器具は外科医の手のように機能し、リアルタイムのビデオ映像に導かれながら、組織サンプルの採取（生検）、ポリープの除去、止血、異物の除去といった低侵襲処置を可能にします。

現代医学における内視鏡器具の基礎的役割

内視鏡器具の登場は、外科および内科の歴史において最も重要なパラダイムシフトの一つです。内視鏡器具が開発される以前は、消化管、気道、あるいは関節内の疾患の診断と治療には、侵襲性の高い開腹手術が必要でした。こうした手術は、患者に深刻な外傷を与え、長い回復期間を要し、広範囲に及ぶ瘢痕形成と高い合併症リスクを伴っていました。内視鏡器具は、低侵襲手術（MIS）の時代を切り開き、全てを変えました。

基本原理はシンプルですが革命的です。臓器にアクセスするために大きな開口部を作成する代わりに、ライトとカメラを備えた細くて柔軟なまたは硬いチューブ（内視鏡）を、自然な開口部（口や肛門など）または小さな鍵穴切開から挿入します。 細長く高機能になるよう驚くほど創意工夫されて設計された内視鏡器具は、内視鏡内の専用の作業チャネルに通されます。これにより、医師は操作室でモニターで拡大された高解像度の画像を観察しながら、信じられないほど正確に器具を操作できます。 その影響は甚大で、痛みの軽減、入院期間の短縮、感染率の低下、通常の活動へのより迅速な復帰など、患者ケアを変革しました。これらの器具は単なるツールではなく、より優しく、より正確で、より効果的な医療形態への導管です。

内視鏡器具の主なカテゴリー

日常的なスクリーニングから複雑な治療介入まで、あらゆる内視鏡検査は特定の器具群に依存しています。手術室におけるそれらの役割を理解するには、それらの分類を理解することが鍵となります。すべての内視鏡器具は、機能的に診断、治療、および付属品の3つの主要なカテゴリーに分類できます。それぞれのカテゴリーには、特定のタスク向けに設計された幅広い専用機器が含まれています。

診断用エンドツール：正確な評価の基盤

診断手順は内科の根幹であり、使用される器具は、正確な診断に必要な情報と組織を収集するという唯一の目的のために設計されています。それらは、消化器科医、呼吸器科医、あるいは外科医にとって目と耳のような役割を果たし、高い確度で疾患を確定または除外することを可能にします。

生検鉗子：必須の組織採取器具

生検鉗子は、おそらく最も頻繁に使用される内視鏡器具です。その機能は、臓器の粘膜から小さな組織サンプル（生検）を採取し、組織病理学的分析を行うことです。この分析により、がん、炎症、感染症（胃のH. pyloriなど）、あるいは特定の病態を示唆する細胞変化の存在を明らかにすることができます。

• 種類とバリエーション:

• コールド生検鉗子：電気を使用せずに組織を採取するために使用される標準的な鉗子です。出血リスクが低い通常の生検に最適です。

• ホット生検鉗子：これらの鉗子は電気メスに接続されています。サンプルを採取する際に組織を焼灼するため、特に血管病変の生検や小さなポリープの切除において、出血の軽減に非常に効果的です。

• ジョーの形状：鉗子の「ジョー」には様々なデザインがあります。窓付き（穴が開いている）ジョーは組織をよりしっかりと掴むのに役立ちますが、窓なしのジョーが標準です。スパイク付き鉗子は、片方のジョーの中央に小さなピンが付いており、器具を組織に固定することで滑りを防ぎ、高品質なサンプル採取を可能にします。

• 臨床応用：大腸内視鏡検査中に、医師は疑わしい平坦な病変を発見することがあります。生検鉗子を内視鏡に挿入し、開いて病変にかぶせ、閉じて小さな組織片を採取します。このサンプルは慎重に採取され、病理検査に送られます。その結果、良性、前癌状態、悪性のいずれかが判定され、患者の治療計画に直接影響を及ぼします。
  
  

細胞診用ブラシ：精密細胞採取ツール

生検鉗子は固形組織片を採取しますが、細胞診用ブラシは病変の表面や胆管の内壁から個々の細胞を採取するように設計されています。これは、狭い胆管など、従来の生検が困難またはリスクの高い部位で特に有用です。

• 設計と使用方法：細胞診ブラシは、先端に小さな毛の付いたブラシが入ったシースで構成されています。このシースに挿入された器具を目的部位まで進めます。シースを後ろに引いてブラシを露出させ、組織上で前後に動かして細胞を優しく掻き取ります。細胞の損失を防ぐため、器具全体を内視鏡から取り外す前に、ブラシをシースに収納します。採取した細胞はスライドガラスに塗抹し、顕微鏡で観察します。

• 臨床応用：内視鏡的逆行性胆道膵管造影（ERCP）と呼ばれる検査では、胆管の狭窄（狭小化）を調べるために細胞診ブラシが不可欠です。狭窄部から細胞を採取することで、細胞病理医は診断が非常に難しいことで知られる胆管癌などの悪性腫瘍を見つけることができます。

治療用内視鏡ツール：積極的介入のための器具

診断が確定した場合、あるいは緊急の治療が必要な場合、治療器具が活躍します。これらは、医師が内視鏡を通して病気を治療し、異常な腫瘍を除去し、内出血などの急性の医学的緊急事態に対処するための「行動」ツールです。

ポリープ切除スネア：がん予防に不可欠な器具

ポリープ切除スネアは、組織の異常な増殖であるポリープを除去するために設計されたワイヤーループです。多くの大腸がんは良性のポリープから時間をかけて発生するため、スネアを用いてこれらの腫瘍を除去することは、今日利用可能な最も効果的ながん予防法の一つです。

• 種類とバリエーション:

• ループのサイズと形状：スネアには、ポリープの大きさに合わせて、数ミリメートルから数センチメートルまで様々なループサイズがあります。また、ループの形状も様々で（楕円形、六角形、三日月形など）、様々な種類のポリープ（例えば、扁平ポリープや有茎ポリープ）に最適なグリップを提供します。

• ワイヤーの太さ：ワイヤーのゲージは様々です。細いワイヤーはより集中的できれいな切除が可能で、太いワイヤーはより頑丈で、より大きく密度の高いポリープにも適しています。

• 手技：スネアを内視鏡に挿入し、閉じた状態で挿入します。次にスネアを開き、慎重に操作してポリープの根元を囲みます。所定の位置に挿入したら、ループをゆっくりと締め付け、ポリープの茎を絞扼します。スネアワイヤーに電流（焼灼）を流すことで、ポリープを切除すると同時に、根元の血管を塞いで出血を防ぎます。切断されたポリープは、分析のために回収されます。

止血およびクリッピング器具：緊急出血制御器具

急性消化管出血の管理は、内視鏡検査の極めて重要な救命処置です。止血（出血を止めること）を目的として、専用の治療器具が設計されています。

• 注射針：これは引き込み式の針で、出血部位に直接、または出血部位の周囲に溶液を注入するために用いられます。最も一般的な溶液は希釈されたエピネフリンで、血管を収縮させて血流を大幅に減少させます。また、生理食塩水を注入して病変を持ち上げ、治療を容易にすることもできます。

• 止血クリップ：外科用ステープルのように機能する小型の金属製クリップです。このクリップは展開カテーテルに収納されています。出血している血管を特定すると、クリップのジョーが開き、血管の真上に位置付けられ、その後閉じて展開されます。クリップは血管を物理的に閉じることで、迅速かつ効果的な機械的止血を実現します。出血性潰瘍、憩室出血、ポリープ切除後の出血の治療に不可欠です。

• バンド結紮器：これらの器具は主に食道静脈瘤（肝疾患患者によく見られる食道の静脈の腫れ）の治療に用いられます。内視鏡の先端にあるキャップには、小さな弾性バンドがあらかじめ装着されています。静脈瘤をキャップに吸引し、バンドを展開することで、静脈瘤を効果的に絞扼し、血流を止めます。

把持鉗子、回収ネット、バスケット：異物および組織除去ツール

これらの器具は、消化管から異物を安全に除去するために不可欠です。これには、誤ってまたは故意に飲み込んだ異物や、大きなポリープや腫瘍などの切除された組織が含まれます。

• 把持器と鉗子: さまざまな顎の構成 (ワニ口、ネズミ口など) が用意されており、鋭いピンから柔らかい食物塊まで、さまざまな種類の物体をしっかりと掴むことができます。

• ネットとバスケット：回収ネットは、物体を捕らえるために開いて、安全に引き抜くためにしっかりと閉じることができる小さな袋状のネットです。ERCPでは、ワイヤーバスケット（ドルミアバスケットなど）が胆管から胆石を包み込み、除去するためによく使用されます。

内視鏡補助器具：手術の陰の立役者

補助器具は、処置を補助し、安全かつ効率的、そして効果的に実施することを保証するものです。直接診断や治療を行うわけではありませんが、補助器具がなければ処置は不可能になることがよくあります。

• 洗浄／スプレーカテーテル：内視鏡検査では、鮮明な視界が最も重要です。これらのカテーテルは、粘膜の内壁を観察する際に医師の視界を妨げる可能性のある血液、便、その他の異物を洗い流すために、水を噴射するために使用されます。

• ガイドワイヤー：ERCPのような複雑な処置では、ガイドワイヤーが不可欠な経路探索装置となります。この非常に細く柔軟なワイヤーは、困難な狭窄部や目的の管腔内まで進めることができます。その後、治療器具（ステントや拡張バルーンなど）をガイドワイヤー上を通過させることで、正しい位置に到達させることができます。

• 括約筋切開器と乳頭切開器：ERCP専用に用いられる括約筋切開器は、先端に小さな切断ワイヤーを備えた器具です。オッディ括約筋（胆汁と膵液の流れを制御する筋肉の弁）に正確な切開を加えるために用いられ、この処置は括約筋切開術と呼ばれます。これにより開口部が広がり、結石の除去やステントの留置が可能になります。

特定の処置に合わせた内視鏡器具の選定

内視鏡器具の選択は恣意的なものではなく、実施する処置、患者の解剖学的構造、そして臨床目標によって決定される、非常に具体的なプロセスです。十分に準備された内視鏡検査室には、あらゆる状況に対応できる多様な器具が備えられています。以下の表は、いくつかの主要な内視鏡検査で使用される一般的な器具の概要を示しています。

内視鏡器具の再処理とメンテナンス

内視鏡器具の安全かつ効果的な使用は、処置そのものにとどまりません。これらの器具は滅菌済みおよび未滅菌の体腔に接触し、複数の患者に再利用されるため、洗浄と滅菌（再処理）のプロセスは極めて重要です。不適切な再処理は、患者間で深刻な感染症の伝播につながる可能性があります。

再処理サイクルは、逸脱することなく従わなければならない、綿密な複数のステップから成るプロトコルです。

• 前洗浄：使用開始直後から開始されます。機器の外側を拭き取り、内部のチャネルを洗浄液で洗い流すことで、バイオバーデン（血液、組織など）の乾燥や硬化を防ぎます。

• 漏れテスト: フレキシブル内視鏡は、液体に浸す前に漏れテストが行​​われ、内部部品が損傷していないことが確認されます。

• 手動洗浄：これは最も重要なステップです。機器は特殊な酵素洗浄液に完全に浸されます。すべての外部表面をブラシで磨き、適切なサイズのブラシをすべての内部チャネルに複数回通して、すべての汚れを物理的に除去します。

• すすぎ: 洗剤の痕跡をすべて除去するために、器具をきれいな水で徹底的にすすぎます。

• 高水準消毒（HLD）または滅菌：洗浄された器具は、高水準消毒薬（グルタルアルデヒドや過酢酸など）に一定時間、一定温度で浸漬するか、エチレンオキシド（EtO）ガスや過酸化水素ガスプラズマなどの方法を用いて滅菌されます。HLDは、すべての栄養型微生物、結核菌、ウイルスを死滅させますが、必ずしも多数の細菌胞子を死滅させるわけではありません。滅菌は、あらゆる形態の微生物を破壊する、より徹底したプロセスです。

• 最終すすぎ: 器具は、多くの場合滅菌水で再度すすがれ、すべての化学物質の残留物を除去します。

• 乾燥と保管：湿気は細菌の増殖を促進する可能性があるため、機器は内外を徹底的に乾燥させる必要があります。通常は強制ろ過空気を用いて乾燥させます。その後、再汚染を防ぐため、清潔で乾燥したキャビネットに保管してください。
  
  

使い捨て（シングルユース）処置器具の台頭

再処理の複雑さと重要性から、業界は大きなトレンドへと移行しました。それは、シングルユース（使い捨て）内視鏡器具の開発と導入です。生検鉗子、スネア、洗浄ブラシなどのこれらの器具は、滅菌包装で供給され、1人の患者に使用した後、安全に廃棄されます。

次のような利点が魅力的です:

• 交差汚染リスクの排除: 最も大きな利点は、機器を介して患者間で感染が伝染するリスクが完全に排除されることです。

• 保証されたパフォーマンス: 毎回新しい器具が使用されるため、完全に鋭く、完全に機能し、再処理されたツールのパフォーマンスを損なう可能性のある摩耗がないことが保証されます。

• 運用効率: 時間と労力がかかる再処理サイクルがなくなり、手順の処理時間が短縮され、技術者スタッフが他の業務に専念できるようになります。

• 費用対効果: 器具ごとに費用はかかりますが、人件費、洗浄用化学薬品、再利用可能な器具の修理費、院内感染の治療にかかる潜在的な費用を考慮すると、使い捨て器具は多くの場合、費用対効果が非常に高くなります。

内視鏡技術の分野は絶えず革新が続いています。ロボット工学、イメージング、材料科学の進歩により、将来はさらに優れた能力が期待されています。内視鏡器具に超人的な安定性と器用さをもたらすロボットプラットフォームの統合が始まっています。また、処置中に疑わしい病変をリアルタイムで特定する支援を行う人工知能（AI）の開発も進んでいます。さらに、器具はより小型化、柔軟化、高性能化しており、これまで到達できなかった部位への処置が可能になっています。

結論として、内視鏡器具は低侵襲医療の心臓部です。癌の確定診断を可能にするシンプルな生検鉗子から、生命を脅かす出血を止める高度な止血クリップまで、これらの器具は必要不可欠です。適切な選択、使用、そして取り扱いは、良好な患者転帰を達成するための基本です。技術の進歩に伴い、これらの器具は医療現場においてますます不可欠なものとなるでしょう。

高品質で信頼性が高く、技術的に高度な内視鏡器具を求めている医療施設や医師にとって、再利用可能および使い捨てオプションの両方を網羅した包括的なカタログを調べることは、患者ケアと業務効率を向上させるための第一歩です。

よくある質問

1. 内視鏡器具とは何ですか?

   内視鏡器具は、内視鏡の狭い管を通して挿入され、低侵襲処置を行う精密に設計された特殊な医療器具です。これにより、医師は大きな切開を必要とせずに、生検、ポリープの除去、止血などの処置を行うことができます。

2. 診断用内視鏡器具と治療用内視鏡器具の違いは何ですか?

   生検鉗子などの診断器具は、主に正確な診断のための情報や組織サンプルを採取するために使用されます。ポリープ切除用スネアや止血クリップなどの治療器具は、処置中に発見された病変を積極的に治療するために使用されます。

3. 再利用可能な内視鏡器具に関連する主なリスクは何ですか?

   主なリスクは交差汚染です。再利用可能な器具は構造が複雑なため、洗浄、消毒、滅菌（いわゆる「再処理」）のプロセスは非常に困難です。FDAを含む権威ある機関は、不適切な再処理が患者間感染の重大な原因となることを強調する安全警告を複数回発行しています。

4. XBX のような使い捨て器具がより安全で人気があると考えられるのはなぜですか?

   単回使用（使い捨て）器具には、主に次の 3 つの利点があります。1. 絶対的な安全性: 各器具は滅菌パ​​ックで包装され、1 回のみ使用されるため、不適切な再処理による交差汚染のリスクが根本的に排除されます。2. 信頼性の高いパフォーマンス: 毎回新しい器具が使用されるため、以前の使用や洗浄サイクルによる摩耗がなく、最適で一貫した外科手術のパフォーマンスが保証されます。3. 効率性の向上: 複雑で時間のかかる再処理ワークフローがなくなり、人件費と薬品費が削減されるとともに、処置間のターンアラウンド時間が短縮されます。